生物処理が3分でわかる!水処理屋がわかりやすく解説




水処理で微生物はとっても重要な役割を果たしてくれます。微生物は水中の有機物を分解・除去してくれます。

水処理ではこの微生物による有機物の処理プロセスの総称を生物処理と呼んでいます。生物処理は古くから用いられてきた処理方法であり、現在でも下水処理場等で幅広く用いられています。

今回は生物処理の基本から主要な処理方法について、3分でわかるようにまとめてみました。

生物処理の基本

生物処理の主役

生物処理を担うのが微生物ですが、そもそも水処理で言うところの

微生物とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

微生物とは一般的には顕微鏡で見ないと見えないようなものすごく

小さな生物のことを言います。水処理では細菌類やカビ等の他に

藻類や原生生物を含んで広い範囲で捉えられることが多いです。

生物処理の種類とメカニズム

生物処理は大きく分けると好気処理と嫌気処理の2つに分けることができます。

好気処理は酸素が存在する条件下で好気性微生物によって有機物を炭酸ガスと水に

分解する処理です。一方、嫌気処理は酸素が存在しない条件下で、嫌気性微生物

によって有機物がメタンガスと炭酸ガスに分解される処理となります。

一般的に好気処理は曝気槽と呼ばれる水槽でブロワー等の曝気設備で空気を送り、

槽内で有機物を処理します。好気処理設備は曝気さえできれば良いので、設備構成

はシンプルですが、曝気のためには消費エネルギーコストがかかる点が特徴です。

一方、嫌気処理は曝気操作は不要なため、好気処理に比べると消費エネルギーが少ない

ことに加え、高濃度の有機物を処理でき、さらに発生したメタンガスをエネルギーと

して有効活用できることが特徴です。

そう!嫌気処理の方が好気処理よりもエコなんです。

でも、嫌気処理が適用できる有機物の濃度範囲は数千〜数万mg/Lと非常に高い

領域のため、適用範囲が限られてくるんですね。

このため、好気処理の方が一般的に広く用いられています。

いろいろな処理方法があるけど、どれがメジャーなの?

生物処理には様々な処理プロセスがありますが、一体どの方法が

主流なのでしょうか?ここではメジャーな処理方法とその特徴について

まとめています。

一番オーソドックスでメジャーな方法は標準活性汚泥法

生物処理で最もオーソドックスな方法はやはり標準活性汚泥法です。

その名の通り「標準」と名前がつくくらいのなので、標準的に用い

られている方法です。

標準活性汚泥法は下水処理場等でも広く採用されている処理であり、

一般的に最初沈殿池+生物処理槽(エアレーションタンク・曝気槽)

+最終沈殿池の単位で構成されています。その前段には沈砂池が設置され、

後段には塩素混和池が設置されるのが一般的です。

最初沈殿池で固液分離が行われ、その後の生物処理槽で有機物除去が

行われます。最終沈殿池では生物処理槽で発生した活性汚泥(微生物

の塊のようなもの)を沈降分離して、その一部は再び生物処理槽に

返送汚泥として戻されます。

標準活性汚泥法の変法も多数ある?!

標準活性汚泥法は生物処理の基本ですが、この方法の変法とも言える

処理方法が多数あります。その一例として二段活性汚泥法があり、

標準活性汚泥法の曝気槽を2段構成とし、後段に流出する活性汚泥の

沈降性を高める処理として知られています。この他にも様々な処理方法が

ありますが、基本は標準活性汚泥法がベースとなっており、曝気して有機物を

分解・除去するプロセスは同じです。

新興国では回分式活性汚泥法が普及している

日本では下水処理といえば標準活性汚泥法が主流ですが、

海外に目を移すと新興国を中心に回分式活性汚泥法が普及しています。

回分式活性汚泥法は標準活性汚泥法と基本的なメカニズムは

類似していますが、1つの水槽で曝気、沈殿、排出処理を行うことが

特徴となっています。

また、ある汚泥を投入するタイミングや沈殿させるタイミングで

一時的に嫌気状態になるので窒素除去効果を狙うことができ、

構造もシンプルなので、新興国を中心に広く普及しています。

近年では浸漬膜を使った生物処理も飛躍的に増加

近年では浸漬膜を使った生物処理としてMBR(Membrane Bio Reactor)

が適用されるケースも飛躍的に増えてきています。

MBRではろ過膜(MF膜)を用いて生物処理を行います。

従来の活性汚泥法で設置する最終沈殿池の代わりにMF膜を用いることを

基本としており、生物処理槽で生成した活性汚泥をろ過膜で分離除去する

ことが特徴です。

活性汚泥の分離にはMF膜を用いるので従来の標準活性汚泥法よりも

清澄な処理水を得ることができ、近年、排水処理で急速に普及しつつ

あります。





生物処理は経験則のかたまり?!

生物処理は設計もさることながら、運用管理もとても難しく、

経験がものを言う世界です。

扱うものが生き物なので当たり前ですが、微生物に気持ち良く仕事を

してもらうために、pH・水温・栄養源・阻害物質等にとても気を使います。

これらについては教科書に様々なことが書いてありますが、実際のところ、

「習うより慣れろ」の世界だったりします。

つまり、実際に毎日、水の色や水質分析結果を見たりしながら、懇切丁寧に

処理状況を見守り続ける根気が必要となります。

まとめ

本記事では生物処理について、極力シンプルに素人でもわかりやすく

まとめてみましたがいかがだったでしょうか。

生物処理は大きく好気処理と嫌気処理に分けられますが、適用範囲が

広いのは好気処理で、標準活性汚泥法やその変法があります。

近年では膜を使ったMBRの採用も進んでいますが、設計・運用管理は

熟練したノウハウが必要です。

個別の処理については別の機会に詳しくご紹介していきたいと思いますので、

引き続き当ブログを楽しみしていて下さい。