海水を真水に変える夢の技術!?海水淡水化をわかりやすく解説




人口の増加や工業化が進むにつれ水需要が増加し、地球規模で水資源の確保がクローズアップされるようになりました。

地球上にある水の中で淡水は数%程度しか存在しておらず、その中で人間が飲み水として利用できる水資源はさらにその千分の一のオーダーしか存在しないそうです。

このため水資源の確保をめぐって様々な取り組みがなされてきました。中でも沿岸地域では海水を淡水化する取り組みが古くから進められ、今日では確立された技術として広く実用化されています。

ここではそんな海水淡水化について基本や要素技術等をわかりやすく解説しました。

ここだけはおさえておきたい!海水淡水化の基本

海水淡水化はその名の通り、海水を淡水(真水)に変える技術です。

塩分が多く含まれた海水を真水に変えるメカニズムは教科書的には

とてもシンプルですが、実際の中身は経験に裏付けられたノウハウが

多く存在します。

そんな海水淡水化の基本についてご紹介します。

海水の塩分濃度ってどのくらい?

海水淡水化は海水から塩分を取り除く処理です。

では、そもそも海水にはどのくらい塩分が含まれているかご存知ですか?

海水浴で海水をなめてみたことがある人は多いと思いますが、

直感的には味噌汁の数倍くらいは塩分が含まれていそうですよね。

海水の塩分濃度はTDS(Total Dissolved Solid)という指標で

35,000mg/L程度が一般的とされています。

ただし、これは海域によって多少変動があり、中東地域の海域では

40,000mg/L程度の濃度となっています。

直感的にわかりにくいかもしれませんが、パーセント表示にすると

3.5〜4.0%程度といったところです。

味噌汁の塩分がうす味で0.6%、辛味で1.2%程度と言われているので、

塩分濃度はざっくり3〜6倍くらいは濃い水と言えるでしょう。

淡水の基準ってあるの?

では今度は逆に淡水の基準ってあるのでしょうか?

水処理ではあまり馴染みがありませんが、海洋学の分野では絶対塩分と

呼ばれる塩分の濃度基準が古くから用いられてきたそうです。

絶対塩分の基準によると、淡水の塩分濃度は0.05%未満とされています。

海水は3.5〜5.0%となっているので、淡水化は海水を100倍以上希釈する

イメージですね。

海水淡水化処理の要素技術

海水淡水化と検索すると真っ先に出てくるのが多段フラッシュや

逆浸透膜(RO膜)による脱塩処理ですが、これらの技術だけでは

海水淡水化は成立しません。

海水淡水化を正しく行うためにはその前段となる前処理も適切に

行う必要があるんですね。

そんな海水淡水化処理について必要となる要素技術をご紹介します。

ろ過による固形分の除去

海水は取水場所にもよりますが、そのまま海から採取すると細かな

固形分が含まれています。まずはこれをろ過によって分離除去する

ことが海水淡水化の入口となります。

海水淡水化で用いられるろ過としてはオーソドックスな砂ろ過に加えて、

MF膜・UF膜といった膜処理が一般的です。

海水には無機のSS成分に加えて、プランクトンのような微生物も含まれる

ため、これらも分離除去します。





RO膜(逆浸透膜)

海水淡水化のことを別名SWRO(Sea Water Reverse Osmosis)と呼ばれる

くらい、RO膜処理が普及しています。かつては蒸発法も主要な海水淡水化

手段ではありましたが、近年はRO膜のコストも劇的に下がり、ますますRO膜

による脱塩処理が普及している感触が強いです。

海水淡水化で用いられるRO膜はスパイラル構造のものと中空糸構造の2種類

がありますが、供給量ベースではスパイラルの方が多くのシェアを占めています。

意外と重要な塩素注入設備

海水はプランクトンのような微生物の宝庫でもあり、塩素によって

これらを不活化する処理は欠かせません。そうしないとすぐに微生物が繁殖し、

ろ過器や膜を目詰まりさせてしまいます。

また、原水の取水ラインにはフジツボのような貝類が繁殖し、

一旦、配管内に付着すると取り除くのがものすごく大変です。

このため、それらを防止するために塩素が欠かせないんですね。

小規模の海水淡水化設備であれば、次亜塩素酸ソーダのような薬品を

直接注入しますが、大規模になると塩素の消費量も多くなるため、

海水を電気分解して塩素を作り出すことも行われます。

一般的な海水淡水化処理プロセス

一般的な海水淡水化処理プロセスはどのような構成となっているのでしょうか。

まず海水淡水化は取水するポイントから始まります。

河口付近では河川水の水質変動の影響を受けやすいため、沿岸地域でも

比較的沖の方から取水するのが一般的です。

取水は沖合に取水点を設置するか、砂浜の場合、砂浜の下に取水配管を

敷き詰めて、砂浜でのろ過効果を狙った浸透取水が行われることもあります。

取水された海水は原水槽に貯留され、そこで塩素処理が行われます。

その後、前処理設備としてろ過が行われ、RO膜等による脱塩処理が

行われます。

RO膜処理された後の処理水は必要に応じてさらに後処理が行われたり、

飲料水として使用する場合、ミネラルが添加されたります。

このように海水淡水化はシンプルな脱塩処理だけでなく、複数の処理プロセス

が組み合わさって構成されています。

まとめ

海水淡水化は水需要に応える技術として近年ものすごい勢いで普及が進んでいます。

海水淡水化はかつては蒸発法も導入が進んでいましたが、現在ではRO膜法が主流

となっています。

海水淡水化を行うにはRO膜による脱塩処理だけでなく、適切な前処理や後処理が

欠かせません。海水淡水化は一見するとシンプルですが、複数の処理プロセスを

組み合わせた技術であることから非常に奥が深い技術となっています。