あらゆる排水処理に万能?!凝集沈殿とは




排水処理は様々な処理技術・プロセスがあり、適切な処理技術・プロセスを選定することはエンジニアリングをする上で重要なノウハウとなります。

排水処理で最もよく採用されるプロセスと言って思い浮かぶのは何でしょうか?

そう!この記事のタイトルにある凝集沈殿です。

凝集沈殿は排水処理でとてもよく使われる技術ですが、凝集沈殿は意外とノウハウの塊だったりします。

今回はそんな凝集沈殿についてご紹介します。

排水処理の入り口が凝集沈殿?!

排水処理でまず始めにやらなければならない処理は水中の固形分を

分離する操作、いわゆる固液分離ですね。

固液分離の代表的な処理技術といえば凝集沈殿ですが、この処理は

排水処理のすべての入り口と言って良いほどよく使われます。

凝集沈殿は一般的に排水原水に凝集剤を添加して、SS成分を

フロック状の塊にするための凝集プロセスと、できたフロックを

沈降分離するための沈殿プロセスから構成されます。

凝集剤は用水処理と同様にPAC(ポリ塩化アルミニウム)や硫酸ばんど等

が用いられますが、それぞれの凝集剤を有効に機能させるために必要に

応じてpH調整を行います。

沈殿プロセスでは沈殿池で処理が行われます。

沈殿池は沈殿槽と呼ばれたり、沈澱器(機)と呼ばれたりしますが、

円形だったり、角形の水槽としての形状が一般的です。

沈殿池でフロックを沈降させる際にはフロックの沈降のしやすさが

処理性能に大きく影響します。

一般的にフロックはサイズが大きくなればなるほど、比重が大きくなるので、

沈降もしやすくなります。

フロックを大きくするためには凝集剤を沢山添加して、フロックを粗大化させる

ことがポイントとなりますが、あまりにも沢山の凝集剤を添加し過ぎてしまうと

薬品を大量消費することとなり、処理コストが高くなります。

凝集沈殿と言っても、排水は捨てる水なので、余計なコストはかけたくないのが

正直なところですよね・・・。というこで、凝集剤の使用量がいかに少なくして

最も沈みやすいフロックを形成させるかがノウハウだったりします。

しかも、排水は常に性状が一定しているわけではなく、刻一刻と水質も変動する

のが一般的なので、変動幅を吸収できるだけの凝集剤使用量を設定することが

ポイントです。

沈殿池で沈降処理されたフロックは下部から汚泥として引き抜かれます。

一般的に沈殿池は汚泥の引き抜きができるように汚泥掻き寄せ機が設置してあり、

底部にたまった汚泥を引き抜き箇所まで掻き寄せられる構造になっています。

汚泥は1〜2%程度の一定濃度で引き抜く設計としていることが多いですが、

原水として流入するSS濃度と処理時間から一定間隔ごとに引き抜くタイミングを

決めて、一定濃度になるように引き抜きのタイミングを決めていることが多いです。

場合によっては汚泥界面計という汚泥が堆積した高さを測定する計器を使って、

汚泥の引き抜きのタイミングを制御することもあります。





凝集沈殿で処理できるものまとめ

凝集沈殿は原水中の固形分(SS)を沈降処理することはすでに述べてきた通り

ですが、凝集沈殿で処理できる固形分とは具体的にどんな成分なのでしょうか。

ここでは凝集沈殿で処理できるものをまとめてみました。

1.原水由来の固形分(いわゆるSS)

当たり前ですが、凝集沈殿では原水由来のSSを沈降処理することができます。

工場の排水処理では工場の製造プロセスなどで混入した各種固形分が処理対象

となります。SSは凝集剤によってフロックと化し、より効率的に除去されます。

2.金属の水酸化物(アルカリ沈殿)

銅や鉛等のような重金属有害物質やカルシウム・マグネシウム等の硬度成分等は

一般的にアルカリ性で水酸化物として結晶化するので、沈降分離することができます。

この他に重金属は共沈や硫化物によって沈降処理する方法もありますが、

溶存している金属を結晶にさせて沈降処理する点では共通しています。

3.その他(ちょっとした有機物)

この他に凝集沈殿ではちょっとした有機物(COD)等も除去することができます。

といっても、そもそも凝集沈殿は有機物除去が目的の処理ではないので、

ガッツリと除去はできませんが・・・。

凝集処理をする際にフロックの中にCODが取り込まれることがあって、

それがSSとして一緒に除去されるイメージですね。

どちらかというと副次的な効果ではあるものの、原水性状によっては

それなりに除去できる有機物があるのも事実です。

凝集沈殿で有機物が除去できるって、ちょっと意外だったりしませんか (^^;

凝集沈殿で処理できないものとは?

逆に凝集沈殿で処理できないものって何でしょうか。

凝集沈殿のメカニズムは固形分の沈降分離なので、固形分になっていない

ものはすべて処理することはできません。

例えば、塩分や気体のような完全に溶解している成分や、生物処理とかで

ガッツリと落とさなければならない有機物(BOD)は処理することが

できません。まぁ、当たり前と言えばそれまでですが、これらは別の

処理プロセスで処理する必要があります。

まとめ

排水処理のほとんどの処理プロセスに用いられる凝集沈殿はすでに

ご存知の方も多いとは思いますが、固形分だけでなく、重金属や

ちょっとした有機物も除去できるため、意外と守備範囲が広いですよね。

しかも凝集処理と比較的単純な構造の水槽(沈殿池)で処理できるので、

使い勝手も良く重宝します。

でも、原水性状に応じた凝集処理等にノウハウがあるのもまた事実です。

今回はそんな凝集沈殿にクローズアップしてみました。

この記事が水処理を学んでいる方々のお役に立てれば幸いです。