えっ?!水中の溶存気体も除去対象なの?




水処理の中でも用水・給水処理では水中に溶存している気体も不純物として扱われます。

水中に気体が溶けているということ自体、直感的に理解しにくいという方もいるかもしれませんが、水処理では溶存気体の影響は無視できません。

そもそも、水中の溶存気体としては何が存在するのでしょうか?また、どうして溶存気体を除去しなければならないのでしょうか?そして、溶存気体を除去する方法としてどのような処理が行われているのでしょうか?

そんな疑問にお答えするために、水中に溶けている気体と

その除去方法の基本についてご紹介いたします。

水中に溶けている気体って何かご存知ですか?

水中に溶けている気体が何かご存知でしょうか?

私たちの身近にある溶存気体が含まれた水として、

真っ先に思いつくのがおそらく炭酸水ではないでしょうか。

また、炭酸以外に身近な気体としては酸素があります。

以下では、水中に溶けている気体について詳しく見ていくことにします。

用水・給水処理で除去対象となる炭酸

ご存知の通り炭酸水は水中に二酸化炭素を溶存させた液体です。

では、炭酸水の炭酸ってどれくらい溶けているかご存知ですか?

炭酸水の種類にもよりますが、一般的には炭酸水の炭酸濃度は

数千mg/L(ppm)と言われています。

口に含んだ時にシュワシュワとするあの爽快感は実はものすごい

高濃度の炭酸が含まれているからこそ感じることができるのですね。

一方、水処理で扱う炭酸濃度はどれくらいの濃度範囲なのでしょうか。

用水・給水処理では天然の水源を原水として扱うことが殆どのため、

自然界に普通に存在し得る濃度領域が対象となります。

日本の河川水では数十mg/L程度になることが一般的で、

市販されている炭酸水の1/100以下の濃度が目安です。

水処理では炭酸濃度を測る方法として、アルカリ度という指標を用います。

アルカリ度はJIS規格で酸消費量と定義されますが、水中に存在する

炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物等の量を炭酸カルシウム換算で表示したものです。

自然界に存在する水は炭酸塩や炭酸水素塩の化学形態で存在することが多く、

アルカリ度を測ることで炭酸濃度を測定することができます。

用水・給水処理では溶存酸素も除去対象

用水・給水処理では溶存酸素も除去対象となります。

地球上に存在する空気の約8割は窒素で、約2割が酸素と言われています。

このため、水中に酸素が一定の割合で溶け込んでいます。

水中に溶けている酸素は溶存酸素計や滴定法等で測定されます。

溶存酸素は排水処理では微生物の活性を見る指標として用いられますが、

その濃度領域は数mg/L程度です。

一方、用水・給水処理ではさらに低い濃度領域を対象とし、

μg/Lオーダーの低濃度領域までしっかりと除去することが求められます。

この他、溶存気体としては大気の約8割を占めている窒素も対象になりますが、

窒素自体は不活性ガスとして知られており、水処理で直接的な弊害を与えることが

少ないため、直接的な除去対象となることは少ないです。





溶存気体はどうして除去しなければいけないの?

溶存気体はどうして除去しなければならないのでしょうか。

その答えを知るためには、それぞれの気体がどのような

弊害となっているのかを知る必要があります。

まず炭酸ですが、カルシウムやマグネシウムといった硬度成分と

結びついて炭酸カルシウム等のスケール成分として析出します。

スケール成分は膜処理で問題となることが多いのですが、析出物は

膜面を閉塞させて、目詰まりを起こす原因となります。

また、炭酸自体は中性のpH領域では炭酸水素イオンとしてイオン化していますが、

アニオン負荷となり、純水製造においてイオン除去を阻害します。

純度の高い純水を得るためには炭酸はしっかりと除去する必要があるんですね。

一方、溶存酸素は用水・給水処理で扱う濃度領域はごく低濃度ですが、

それが存在することによって、後段の使用先で酸化を引き起こす要因となります。

よくボイラーの補給水などで問題となりますが、補給水の溶存酸素量が多いと、

その分、ボイラー系統の配管や機器類の酸化が促進され、腐食が起きやすくなります。

μg/Lオーダーのごく低濃度ですが、用水・給水処理では酸素濃度は

厳密な管理が必要となります。

溶存気体除去方法とは

では、水中に溶存した気体はどのように除去するのでしょうか。

水処理で溶存気体を除去する方法は、大きく曝気と膜処理の2つがあります。

曝気で代表的なのは脱炭酸塔や真空脱気装置です。

脱炭酸塔は気液接触面積を大きくするための充填材を充填した塔の上から

水を自然流下させ、塔下部からは送風機で空気を上向きに送り、

水と空気を向流で接触させます。この時、炭酸が遊離の状態で存在しやすくするために

pHを弱酸性にすることで、炭酸が大気中に放出されます。

また、真空脱気装置は塔内を真空状態にすることで、溶存炭酸だけでなく、

溶存酸素、溶存窒素などを除去することが可能です。

一方、膜処理では脱気膜と呼ばれる膜を用いて溶存気体を除去します。

脱気膜は様々な形状がありますが、一般的に中空糸型の膜モジュール形状

になっており、膜の内側に水を通し、外側を真空引きすることで、

気体の濃度差を生じさせ、膜を透過する気体を介して脱気処理を行います。

一般的に脱気膜は膜モジュールは高価ですが、脱気塔のような設置スペースが

不要となることから、コンパクトな設備が構築可能です。

まとめ

水処理の中でも用水・給水処理では溶存気体も除去対象です。

水処理では炭酸カルシウムスケールや機器の腐食抑制を目的に

溶存炭酸や溶存酸素が除去されます。

溶存気体は低濃度領域になればなるほど、除去するのが困難になりますが、

用水・給水処理ではそれらを極限まで取り除く取り組みが行われています。