水処理で有機物って何を指標にすれば良いの?




水処理では有機物はいろんな指標で語られます。

ひとことで有機物と言っても、見るポイントが違ったり、見ている対象そものもが違ったりして、専門とする水処理の分野によって見るべき指標は様々です。

そもそも有機物の正体って何なのでしょうか?また、それぞれの有機物の測定方法の違いをご存知でしょうか。よく水処理では「有機物」として一般化して語られますが、実はとても奥の深い物質だったりします。

ということで、今回は水処理で扱う有機物の違いやその正体について迫ってみました。

代表的な有機物の種類と測定方法

水処理で使う代表的な有機物の指標をご存知でしょうか?

ずばり、水処理で語られる有機物の代表的な指標はBODとCODとTOCの3つです。

これらは水質分析の手法としても確立しているだけなく、

水処理の業界では世界的に最も広く用いられている指標です。

ではこれらの違いが何なのか、個別に見ていくことにしましょう。

生物処理で除去できるBOD

有機物を除去する処理プロセスで代表的なのは生物処理です。

生物処理では有機物は BODとして測定し、管理されます。

BODは英語のBiochemical oxygen demandの略で

生物化学的酸素消費量と言われています。

それではBODとは実際に何を測っているのでしょうか。

BODは有機物を分解する際に微生物が呼吸するのに必要な

酸素の量を測っています。水中の有機物の量が多ければ

それだけ酸素量が必要となり、その水質が悪いと言えます。

BODは採取した水を密閉した容器に入れて、5日間微生物を

20℃の暗所で培養したときにどれだけ酸素が消費されたかを

見ることで測定します。酸素量は水中に溶存しているものを測ります。

このためBODはBOD5とも表記され、末尾の5は5日間の培養期間を

意味しています。

生物処理で除去できない有機物はCODとして測定

有機物は生物処理で分解除去するのが基本ですが、

生物処理では除去できない有機物が存在するのも事実です。

この場合、別の指標で有機物を測定する必要があります。

それがCODです。

CODはChemical Oxygen Demand の略で、化学的酸素要求量と呼ばれます。

CODは微生物ではなく、酸化剤を用いてある条件のもとで有機物を酸化するときに

消費される酸化剤の量を酸素に換算したものです。

BODは微生物が必要とする酸素量であるのに対して、CODは酸化剤の量を

酸素に換算しているわけですね。

つまり同じ有機物でも測定する方法や見ているものが違うということなんです。

一般的に、BODが下がれば、CODも下がりますが、完全に一致することはありません。

これは微生物で分解除去できる有機物と、そうでないものがあるということを

示しているからです。BODとCODの比率を見て、どれだけ生物処理に適しているか

見ることもあります。もちろんBOD/COD比が高ければ高いほど、微生物で

処理できる有機物が多く含まれているということになるので、

その水は生物処理に適しているということになります。

また、CODは日本で使う場合と海外で使う場合で指標が異なるという点も

注意が必要です。日本ではCODといえばCODMnをよく使いますが、海外では

CODCrが一般的によく使われます。両者の違いは酸化処理する際の酸化剤の

違いで、Mnは過マンガン酸カリウムを、Crは二クロム酸カリウムを酸化剤

として使っています。酸化剤の種類によって酸化できる有機物が違うのですが、

一般的にCODの測定値はCODCr>CODMnとなります。

TOCは水中の炭素量を見ている

3つめの指標であるTOCは水中の炭素量を見ています。

TOCはTotal Organic Carbonの略で、全有機体炭素量を示します。

学校の授業で有機物は炭素を含んでいる物質の総称であると習ってきましたが、

その意味においてはTOCは正確に「有機物」の量を見ていることになります。

水処理の用途ごとに気にしなければならない指標が違うって本当?

水処理で扱う有機物はBOD、COD、TOCの3種類がありますが、

実際にどのように使い分けているのでしょうか。

大きく分けるとすると、用水・給水処理と排水処理で扱う指標が異なります。

用水・給水処理ではCODとTOCが用いられることが圧倒的に多いです。

特に前処理ではCODが、純水製造ではTOCが注目されます。

前処理でCODが用いられる理由としては河川水などの浄化で水中の有機物を

見る指標がCODで、活性炭などで低減効果を見るのに適しているからです。

一方、TOCは水中の微量有機物を測定する際に用いられ、純水などの純度の

高い水中の有機物を測定するのに適しています。

用水・給水処理で用いるCODの範囲は一桁〜二桁mg/L程度、

TOCの範囲は二桁μg/L以下が目安となります。

排水処理ではBODとCODが用いられます。

いずれも高濃度の有機物を見るのに適していて、

濃度領域としては数十〜数万mg/L程度となります。

濃度幅に大きく開きがありますが、嫌気処理になると数万mg/L程度の

高濃度領域をメインで扱うことになります。





結局、有機物の正体って何なの?

これまで有機物の指標とその測定方法について見てきましたが、

結局、有機物の正体って何なんでしょうか?

実は水処理の世界では有機物の正体が何かを特定するのは至難の業です。

というのも水中に溶けている有機物は非常に多種多様な化学形態を

とっていて、1つや2つの物質として特定できないからです。

中には、ある特定の化学形態の物質が含まれる排水のみを処理する

ということもありますが、それはかなり稀なケースで、

多くの場合、雑多な有機物が含まれた水を処理することになります。

有機物は炭化水素、油脂、有機酸、微生物そのもの、フミン質、タンパク質etc…

といった具合に、ものすごい種類の物質の総称なのです。

まとめ

水処理で扱う有機物として代表的なBOD、COD、TOCの基本について

ご紹介してきましたが、水処理の分野によって扱う指標も異なる点を

ご理解いただけましたでしょうか。

有機物は水処理で除去が難しいだけでなく、その実態を把握することも

きわめて困難で、奥が深いです。

単に有機物を処理すると言っても、何を見てどう処理するかで対処の仕方が

変わってくるのが水処理エンジニアリングの醍醐味と言えるでしょう。