排水処理も膜で解決?!排水処理用の膜をまとめてみました




水処理膜は用水・給水処理で用いられるだけでなく、排水処理でも広く用いられます。排水処理で用いられる膜は様々ですが、用途に応じた使い方と膜種の選定ノウハウが存在します。

排水処理用途で用いられる膜と用水・給水処理で用いられる膜の違いは何?どんな排水でも大丈夫なの?そもそも排水処理で膜を使った場合、どんなトラブルや運用上の課題があるの?

そんな疑問にお答えすべく、今回は排水処理で用いられる膜についてまとめてみました。

濁質成分・有機物除去はMF膜・UF膜

排水処理でも固形分除去にはMF膜やUF膜が用いられます。

用水・給水処理と同じように定期的な水逆洗や空気逆洗を行いながら

排水中の固形分を分離除去します。

排水処理で用いられるこれらの膜ろ過で特徴的なのは、

用水・給水処理に比べて微生物による膜の目詰まりが

発生しやすいという点です。

排水中には様々な無機成分だけでなく、有機物も含まれています。

それらは微生物繁殖の温床となるだけでなく、発生した微生物と

無機物の析出したものが複合的に膜の目詰まりを起こすこともあります。

これによってバイオファウリングによる目詰まりが発生しやすくなります。

一方、排水処理でその微生物の性質をうまく利用して膜処理を

行う方法が近年さかんに採用されています。

それは膜分離活性汚泥法と呼ばれる処理です。

英語でMBR(Membrane Bio Reactorの略)とも呼ばれます。

MBRは排水に浸漬した膜に微生物の塊である活性汚泥をろ過させ、

生物処理を行う方法です。従来の生物処理では曝気槽で生成した

活性汚泥を後段の沈殿池で沈降処理していましたが、MBR膜を

採用することで、活性汚泥の分離性を高め、清澄な処理水を

得ることができます。

MBRは様々な膜が開発されており、従来生物処理の主流であった

標準活性汚泥法の代替として、近年急速に普及しつつあります。

脱塩処理はNF膜・RO膜

排水中の塩分除去を行うにはNF膜かRO膜が用いられます。

NF膜は主に2価のイオン除去を行うのに対し、RO膜は1価のイオンを含む

塩分全般を分離除去します。これは用水・給水処理と同じですね。

排水処理で用いる脱塩膜と用水・給水処理で用いる脱塩膜の違いは

多くの場合、目的が脱塩ではなく塩分濃縮にあること、

そして排水処理であるがゆえに、微生物による膜の目詰まりが発生しやすい

という点です。

脱塩ではなく濃縮が目的であるとは、どういうことかというと、

排水処理では基本的に処理水は系外に放流されます。

このため、膜の透過水側に多少の塩分が含まれていても

問題ないことがほとんどです。

一方、排水処理プロセスにおいては、不純物を選択的に濃縮し、

濃縮された不純物を別途処理することがよく行われます。

つまり、膜で不純物となる塩分を濃縮し、別途その塩水を処理する

という考え方です。

これは排水を系外に出さないZLD(Zero Liquid Discharge)でも同様で、

不純物となる塩分をいかに濃縮するかに焦点が当てられて脱塩膜が

用いられています。

次に微生物による膜の目詰まりですが、これは用水・給水処理に比べて

格段に発生する可能性が高くなります。

NF膜、RO膜ともに芳香族ポリアミド系の材質を用いる場合、

酸化剤である次亜塩素酸ソーダを膜と共存させることができません。

酸化剤は膜を劣化させる要因となるためです。

このため、酸化剤はその前段で重亜硫酸ソーダなどで還元してあげる

必要があり、膜ではバイオファウリングが発生しやすい状況となります。

特に、排水処理で扱う排水中には有機物も多く含まれており、

微生物のエサとなる成分も豊富に含まれていることから、

微生物が容易に発生しやすい環境にあります。

このため、排水処理で用いる脱塩膜は定期的な洗浄剤による洗浄

を行うことが前提となり、運用維持管理が煩雑であることが特徴です。





気体除去は脱気膜

排水処理プロセスにおいて、頻度は高くありませんが、溶存気体を

分離除去しなければならないケースがあります。

例えば、RO膜処理で塩分濃縮を行う際に、硬度成分であるカルシウムや

マグネシウムが多量に含まれている系では炭酸成分が多いと硬度スケール

が析出する可能性が高くなります。

このとき、硬度除去と合わせて、脱気処理(脱炭酸)を適切に行うことで、

硬度スケールを発生するリスクを低減し、安定的な排水処理を行うことができます。

脱気膜は単に溶存炭酸を除去するものだけでなく、溶存酸素を除去する

ものもあり、用途に応じて適切な膜種を選定する必要があります。

まとめ

排水処理用途で膜は馴染みが薄いと思う方も多くいるかと思いますが、

近年では膜の技術革新とともに、コストも安くなってきたことから、

排水処理でも多く用いられるようになってきました。

排水処理で扱う膜は基本的に用水・給水処理で用いる膜と同じように

MF膜・UF膜といった固液分離膜や、NF膜・RO膜といった脱塩膜、

さらには脱気膜があり、その使い方も同様です。

ただし、扱う対象が排水であるため、特有の微生物による目詰まりの

発生のしやすさなどがあり、高度な運用ノウハウが求められます。