膜で純水が作れるって本当?最新膜処理技術を一挙紹介




水処理で膜は幅広い用途で用いられます。特に純水製造で膜処理は大きな役割を果たしています。

純水製造用途で用いられる膜処理をご存知でしょうか。膜処理にも向き・不向きがあって、適切な用途の使い分けが大切です。

そこで、今回は純水製造用途で用いられる膜処理技術の最新情報についてまとめてみました。

RO膜とNF膜による脱塩処理

純水製造処理プロセスで重要な機能は何と言っても溶存している

イオンを分離除去することですよね。

そう!いわゆる脱塩処理です。

水処理膜で脱塩機能を有しているものとして汎用的に

用いられているのがRO膜とNF膜です。

両者ともに水分子は透過するけど、溶存しているイオンは透過しない

半透膜の役割を担っていて、塩分の分離除去に用いられます。

その中でも純水製造用途で圧倒的に頻繁に用いられるのがRO膜です。

NF膜はどちらかというと用途は限定的です。

以下、両者の違いをみていきましょう。

RO膜は芳香族ポリアミド系スパイラル型が主流

RO膜は広い意味での半透膜ですが、半透膜自体は18世紀からその存在が

知られていたと言われています。しかし、本格的に工業的に広く利用されるよう

になったのは1980年代くらいからで、海水淡水化がその原動力と言われています。

RO膜は構造、材質ごとにいくつかの種類に分類することができます。

膜の構造は以下の3種類が知られています。

・中空糸型:直径数mmの細い繊維状の空洞をもった糸構造

・スパイラル型:平膜をセンターパイプに固定し、それをのり巻き状に巻いた構造

・チューブラー型:中空糸よりも太い糸状の構造

一方、材質は主に以下の2種類が知られています。

・酢酸セルロース:海水淡水化などで多く用いられ、次亜塩素酸ソーダに耐性を有する

・芳香族ポリアミド:スパイラル型に多く採用されるが、次亜塩素酸ソーダの耐性無し

上記以外にもポリビニルアルコールやポリスルホンなどの材質もありますが、

水処理の脱塩用途ではほとんど用いられることはありません。

このようにRO膜の種類はいくつかありますが、純水製造用途で最もよく用いられるのが、

芳香族ポリアミド系スパイラル型膜です。

スパイラル膜の本体はエレメントと呼ばれ、業界標準的に4インチ、8インチ、16インチと

サイズが規格化されています。またそれに合わせた容器をベッセルと呼びますが、

ベッセルもまた業界標準的にサイズが規格化されています。

NF膜の用途はかなり限定的

脱塩用途の水処理膜としてRO膜と並んでよく紹介されるのがNF膜ですが、実際は

用途はかなり限定的で、純水製造用途で採用されるケースはほとんど無いのが現状です。

NF膜は別名、ルーズRO膜とも呼ばれ、RO膜よりも目開きが大きいのが特徴です。

膜の目開きのサイズが大きいため、ナトリウムのような1価のイオンは透過

しやすいけど、カルシウムのような2価のイオンは除去できるのが特徴です。

このため、NF膜は硬度成分を除去する軟水化目的で用いられることが

ありますが、純水製造用途では軟水化処理はほとんど用いられることは

無いためあまり実用的にはあまり登場しないのが実態です。





イオン交換膜も注目アイテム

純水製造と言えば、イオン交換樹脂ですが、それを膜状にしたイオン交換膜も

純水製造において用いられるようになってきました。

イオン交換膜は電気脱塩装置でイオンを濃縮分離するために用いられます。

電気脱塩装置は英語でEDI(Electro Deionizationの略)と呼ばれ、

イオン交換膜とイオン交換樹脂と組み合わせたスタック状の

モジュールで構成されています。

イオン交換膜はカチオン成分を選択的に透過するカチオン交換膜と

アニオン成分を選択的に透過するアニオン交換膜が交互に配置され、

その間にイオン交換樹脂が重点された脱塩室と呼ばれる部屋と

イオン交換膜を透過してイオンが集まる濃縮室と呼ばれる部屋に分けられ、

それらが積層された構造が基本です。

電気脱塩と呼ばれるようにイオンを移動させる原動力となるのは電気です。

直流電流によってイオンを陽極・陰極それぞれの方向に移動させることで

脱塩処理を行います。

電気脱塩装置はかけた電流に比例して、イオンが移動するため、

高濃度のイオンを処理するには電気代がとても高くなります。

このため、低濃度領域の脱塩処理を行うのに適している処理方法です。

システム構築事例

純水製造ではRO膜とEDIを組み合わせた膜処理プロセスがよく採用されます。

RO膜は芳香族ポリアミド系スパイラル膜を用いますが、近年では低い圧力で

透過水を得ることができるRO膜が実用化されています。

EDIはRO膜処理の処理水をさらに浄化するための処理プロセスとして用いられ、

一次純水の最終後段のポリッシャー的な役割を担います。

ちょうどイオン交換樹脂による2床3塔+混床方式の処理プロセスで例えると、

RO膜が2床3塔に相当し、EDIは混床方式の処理プロセスに相当します。

RO膜処理で処理水の導電率は概ね10μS/cm以下に低減することができ、

さらに浄化させるためにRO膜処理を2段構成にすることもあります。

2段RO膜処理で処理水導電率は1μS/cm以下にまで低減することができます。

その後段にEDIを設置することで、処理水の導電率は0.1μS/cm程度は

浄化することが可能です。

まとめ

今回は膜を用いた純水製造技術についてご紹介しました。

純水製造用途では芳香族ポリアミド系スパイラル型のRO膜と

イオン交換膜を使った電気脱塩装置が用いられています。

これらを組み合わせることでイオン交換樹脂を使った純水装置と

遜色ない程度の純度の高い純水を得ることができます。