用水・給水の前処理とは?




水処理では使用先(工場等)で使う水を処理するプロセスのことを用水処理とか給水処理と呼ぶことが一般的です。

用水・給水処理では使用先の用途によって、適切な処理方法を選定することが必要となりますが、純水製造等の高い純度が求められる処理プロセスでは必ず前処理が必要となります。

用水・給水の使用先での純度がそれほど求められないケースでは前処理だけで済む場合も出てきます。

ここではそんな用水・給水処理における前処理方法についてわかりやすく解説してみました。

前処理の基本は固液分離!

用水・給水の前処理では基本的に固液分離が行われます。

固液分離とは読んで字のごとく、処理対象となる原水中に含まれる固形分と液体(=水)を

分離する操作のことです。

用水・給水の原水は一般的に自然界に存在する水源や排水を回収再利用した水が使われるため、

それらに含まれる固形分が除去対象物質ということになります。

それでは、原水中に含まれる固形分とはどのような物質なのでしょうか?

原水中に含まれる固形分として代表的なのは色度や濁度成分となっている無機物や有機物です。

河川水等が原水の場合、有機物はフミン質と呼ばれる植物などが微生物によって分解された物質

であり、フミン酸と呼ばれることもあります。いわゆる生き物の残骸ですね。

これらの固形分は濁度や色度の他にSS(懸濁物質)として表示されるのが一般的です。

実はいろいろある固液分離処理方法

用水・給水処理で用いられる固液分離処理方法をいくつご存知でしょうか。

実は固液分離方法はいろいろあって、原水性状によって使い分けています。

ここでは代表的な固液分離方法についてご紹介します。

スクリーン処理

原水中に大きなゴミ(木くず、落ち葉など)が含まれている場合、

まずはスクリーン設備で除去する必要があります。

スクリーン設備とは平たく言えば、「網」です。

目に見えるくらい大きなゴミはあらかじめ網で粗取りしておくことが

後段の処理効率を上げるために重要なポイントとなります。

凝集沈殿

原水中に存在する固形分を分離除去する方法としてよく用いられるのは凝集沈殿です。

凝集沈殿は凝集剤によって原水中に存在する固形分をフロックと呼ばれる塊状に凝集させて

沈降分離させる処理技術です。

凝集剤は一般的にPAC(ポリ塩化アルミニウム)や硫酸ばんどのような薬品が用いられますが、

凝集効果を高めるためにさらに高分子凝集剤(ポリマー)が用いられることがあります。

凝集加圧浮上

凝集沈殿が固形分を沈降分離させるのに対して、凝集加圧浮上では固形分を浮上分離処理します。

加圧浮上は凝集沈殿と並んで、固液分離の代表的な処理技術です。

では加圧浮上と凝集沈殿はどのように使い分けるのでしょうか?

答えは原水中に含まれる固形分の沈みやすさ(浮きやすさ)の違いによって使い分けます。

例えば、鉄粉のような比重の大きな固形分が原水中に含まれているとしたら、

処理は凝集沈殿の方が適しています。

一方、藻類や繊維状物質などの比重の小さな物質が原水中に含まれている場合、

加圧浮上処理の方が効率的に固形分を除去することができます。

このように加圧浮上は沈降分離では除去困難な固形分を分離除去するのに適しています。




高純度な固液分離を求めるなら「ろ過処理」は必須

凝集沈殿や凝集加圧浮上を行うと原水中に含まれる固形分は相当除去されます。

どれくらい除去されるかというと、濁っていた原水がある程度透明になるイメージです。

でもまだ完全に固形分を除去できているわけではなく、まだ、細かな固形分が

残っている状態です。

水質の目安で言うとSS(浮遊性物質)で数十mg/L程度といったところです。

この処理水の純度を高めるためにはろ過処理が必要となります。

ろ過は一般的な砂ろ過だけでなく、MF膜やUF膜を使った膜ろ過に加えて、

残存している有機物を除去するための活性炭ろ過などがあります。

特に膜ろ過は非常に純度の高い処理水を得ることができ、使用先の用途によっては

膜ろ過も広く一般的に使われています。

最もオーソドックスなのは凝集(沈殿)+砂ろ過

固液分離処理は様々な処理技術があることをお伝えしてきましたが、

一番よく使われる処理はやっぱり何と言っても凝集(沈殿)+砂ろ過だと思います。

沈殿をカッコ書きしているのは原水のSS濃度が高い場合は沈殿処理が加わることが

あると言う意味で使っています。SS濃度が低ければ凝集+ろ過でもOKという意味です。

凝集沈殿+砂ろ過は一般的な浄水場でも広く採用されている処理方式であり、

水道水や工業用水等を得る処理プロセスにもなっています。

原水性状や処理条件にもよりますが、凝集沈殿+砂ろ過を行うと、

処理水の濁度は一桁程度まで下げることができます。

この処理水はほぼ無色透明な状態と言っても良いかと思います。

まとめ

用水・給水の前処理としての固液分離には様々な処理技術があることが

お分かりいただけましたでしょうか。

前処理では原水性状によって、沈降しやすい・しにくい固形分かで凝集沈殿・加圧浮上を

使い分け、さらにその後段で高純度な水質が欲しい場合はろ過処理を行います。

ろ過処理では膜ろ過も採用されますが、オーソドックスな処理は凝集沈殿+砂ろ過です。

この記事が水処理を学んでいる方のお役に立てれば幸いです。