膜の目詰まりってどうやって起きるの?原因物質と対策を紹介




水処理で用いる膜はMF膜、UF膜、NF膜、RO膜、セラミック膜など様々ありますが、共通して言えるのは目詰まりとの戦いだと思います。

どんなに性能に優れた素晴らしい膜が出たとしても、水をろ過するという操作を行う以上、目詰まりは切っても切り離せません。

目詰まりを起こす要因は様々ですが、何らかの物質が膜面を塞ぐことでろ過性能が低下します。実は目詰まりを起こす原因物質はほぼ全ての膜に共通していたりします。

ということで、今回は代表的な膜の目詰まり原因物質とその対策についてまとめてみました。

一番多い膜の目詰まりは硬度成分

膜の目詰まりの中で一番発生頻度が多い原因物質は何だと思いますか?

膜を使う場所や、それこそ使う膜の種類によってさまざまなケースが

あるかと思いますが、意外とどの膜にも共通しているのが

同じ原因物質だったりします。

水処理で使う膜で目詰まり問題が一番多い原因物質は硬度成分だと思います。

これは人それぞれの経験の違いにもよるので一概には言えないかもしれませんが、

硬度成分による膜の目詰まりはどの膜にも発生する可能性があり、

しかもかなりの高い確率で発生します。

硬度成分による膜の目詰まりとは、具体的には炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム

による目詰まりのことを指します。これらは膜面である一定の濃度に濃縮されると

白い結晶となって析出します。

硬度成分の結晶が析出すると膜面に付着して、膜が目詰まりを起こすわけですね。

なぜ硬度成分による膜の目詰まりが起きやすいのでしょうか。

それは、ほとんどの水中に硬度成分が存在し、炭酸と結合した結晶物の

溶解度が低いからです。これは硬度の性質そのものによるものなので、

ある意味避けては通ることができないものです。

硬度による膜の目詰まりが起きた時は、まず最初に差圧上昇や

膜の処理水量の低下などの見た目の変化が見られます。

こうなったら、膜を洗浄するしかなく、硬度成分を溶かすために

酸による洗浄が行われます。

ちなみに、硬度とは異なりますが、2価、3価の金属イオン(鉄、アルミニウム)も

水酸化物や酸化物の結晶として膜面に析出して目詰まりを起こすことがありますが、

同様に酸による膜の洗浄で目詰まりを回復させます。

ただし、洗浄にも限度があり、完全に膜面を閉塞させるくらいにまで目詰まりを

起こすと、洗浄では目詰まり原因物質を除去することは困難です。

このため、差圧上昇や水量低下などの兆候が見られたら、

早めの対策で洗浄などを行うのが良いでしょう。

微生物による膜の目詰まりも侮れない

微生物でも膜は目詰まりを起こします。

いわゆるバイオファウリングという現象ですね。

バイオファウリングの原因物質をバイオフィルムとかスライムと呼んだりもします。

バイオファウリングは微生物そのものが膜につくケースもありますが、

微生物の代謝物やそこにSS成分が取り込まれてそれらがくっついているケースもあります。

見た目はさまざまありますが、黄色や茶色のネバネバした

ゼリー状の物質であることが多いです。

バイオファウリングは比較的長い時間かけてじわじわと

膜の目詰まりを引き起こします。

微生物が成長するのに時間がかかるのがその理由ですが、

ある程度まとまった量の微生物ができるとその後は

急激に微生物の成長が加速します。

バイオファウリングはしばらく息を潜めていてある時になって、

突然暴走が始まるイメージです。こうなると、そのまま放っておいても

勢いを抑えることは出来ず、膜の目詰まりで差圧は一気に上昇していきます。

バイオファウリングが起きたら、微生物を不活化させるための洗浄剤で

膜を洗浄してあげる必要が出てきます。

一般的にはアルカリ剤が用いられ、微生物を構成するたんぱく質を変性させて、

微生物を不活化し、なおかつ、膜面に付着した微生物を剥がし取るイメージで

洗浄が行われます。

微生物ははどんなにキレイな環境でも存在し、たとえ、超純水の製造ラインでも

ずっと使っていると配管や膜面などに微生物が生育してきます。

さすがに超純水製造ラインでは洗浄剤は使えないので(洗浄剤による汚染が起きるため)、

紫外線殺菌などで微生物の育成を予防し、化学的な汚染の心配が少ない過酸化水素などで

系統を洗浄することがあります。





つかみどころがないけど間違いなく存在するシリカ

膜の目詰まりで1番やっかいなのがシリカかもしれません。

シリカは特に塩分濃縮を行うNF膜やRO膜で問題になるケースが多いです。

シリカは水中でいろんな化学形態をとっています。溶存しているものもあれば、

コロイド状やゲル状で存在するものもあり、しかも化学形態が一つではないので、

その素性はまさにつかみどころがないという言葉がぴったりです。

シリカは酸性条件になると結晶物として析出しやすくなります。

このため、逆浸透膜等で濃縮がかかる場合、アルカリ性にすると溶解性が増し

結晶化しにくくなります。また、シリカはスケール分散剤などでスケール成分

として析出しにくくすることも行われます。

まとめ

水処理で膜の目詰まりとの戦いは切っても切り離せない永遠のテーマです。

膜で水をろ過し続ける限りは目詰まりはなくなりません。

水処理では硬度成分、微生物、シリカが最も膜の目詰まりでよく登場する

原因物質ですが、それぞれ適切な対策を行うことで、

目詰まりを軽減することは可能です。

膜の目詰まり対策は運用方法とセットで重要な水処理のノウハウなのです。