イオン交換樹脂を使った純水製造技術をわかりやすく解説




イオン交換樹脂は純水を作る処理プロセスでこれまで広く用いられてきました。

イオン交換樹脂はいつ頃から使われるようになって、どんな変遷を経ているかご存知ですか?

また、イオン交換樹脂を使った水処理プロセスを構築しようとした場合、どの処理方式が一番良いのかご存知ですか?

そして、イオン交換樹脂装置の水質はどの程度出せるのか気になりませんか。

今回はそんなイオン交換樹脂を使った純水製造プロセスについて、初心者にもわかりやすくまとめてみました。

イオン交換樹脂の基本

イオン交換樹脂の歴史

イオン交換樹脂はいつ頃から用いられるようになったのでしょうか。

イオン交換樹脂は20世紀に入ってから工業的に生産されるようになり、

本格的に製造販売されるようになったのは戦後間もなくと言われています。

歴史的には限られた化学メーカ数社が製造販売してきましたが、

現在でもそれら化学メーカがその流れを汲み、製造販売を行っています。

イオン交換樹脂は、当初、硬水の軟化処理がメインでしたが、

その後、純水製造に用いられるようになり、現在に至っています。

イオン交換樹脂の種類

イオン交換樹脂はカチオンを選択的に吸着するカチオン交換樹脂と

アニオンを選択的に吸着するアニオン交換樹脂があります。

それぞれ塩化ナトリウムのような中性塩を吸着する樹脂と

逆に中性塩は吸着しにくい樹脂があります。

前者を吸着能が強いことから「強」樹脂と呼び、

後者は逆の「弱」樹脂と呼びます。

このため、カチオン交換樹脂は強酸性カチオン交換樹脂と弱酸性カチオン交換樹脂があり、

アニオン交換樹脂は強塩基性アニオン交換樹脂と弱塩基性アニオン交換樹脂があります。

一般的に弱樹脂の方が強樹脂よりも高価と言われています。

イオン交換樹脂による処理プロセス

イオン交換樹脂による純水製造処理プロセスで主流な方法は

2床3塔方式と混床方式の2種類があります。

いずれも一次純水製造に用いられますが、対象とする水や処理方法が

若干異なります。ここでは両者の違いについてご紹介します。

2床3塔方式は最も一般的な純水製造方式

2床3塔方式は最も一般的な純水製造の処理方式です。

2床3塔は英語で2B3T(2 Bed 3 Tower)の略で「床」は

イオン交換樹脂が入っている部分を指します。

2床3塔はカチオン交換樹脂塔→脱炭酸塔→アニオン交換樹脂塔の

順に配列し、一次純水を製造する処理プロセスです。

脱炭酸塔を含めて塔が3塔あるから2床3塔と呼びます。

なぜこの並び順になっているのかと言うと、

2床3塔の最初に来るカチオン交換樹脂塔でまず最初に

ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった

カチオン成分を除去します。その処理水は弱酸性になっていますが、

これがその後の脱炭酸塔で炭酸を除去するのに効果的です。。

炭酸は酸性領域では遊離の炭酸の化学形態をとるため、

脱炭酸塔で曝気すると、炭酸成分が大気中に抜けていくんですね。

さらに炭酸はアニオン交換樹脂の負荷となるため、カチオン交換塔の後に

脱炭酸塔を配置することで、アニオン交換樹脂塔の負荷を低減する役割があります。

最終後段に配置されているアニオン交換樹脂塔は残存している

塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、シリカなどの

アニオン成分を吸着除去し、その処理水は純水となります。

このように上流側から順番に溶存しているイオン成分を除去していくのが

2床3塔の特徴となっています。





混床方式は溶存しているイオン成分を全て取り除く

2床3塔が順番に溶存しているイオン成分を除去するのに対して、

混床方式は1つのイオン交換塔にカチオンとアニオン交換樹脂が

混合された状態で入っているので、溶存しているイオン成分を

全て吸着除去することができます。

ただし、2床3塔のようにカチオン、アニオンで役割分担が

されていないため、処理効率が良いわけではなく、イオン交換樹脂の

キャパシティーを超えてしまいやすいのが特徴です。

このため、混床方式は原水のイオン負荷がそれほど多くない場合や

2床3塔の後処理として用いられるケースが多いです。

イオン交換樹脂装置の水質の目安

イオン交換樹脂装置で作られる純水の水質はどの程度になるかご存知ですか?

これを即答できるようであれば、きっとこの道の専門家の方ですね(^o^)

一般的な一次純水製造目的で用いるイオン交換樹脂塔であれば、

2床3塔の場合で出口はだいたい10μS/cm以下くらいが相場です。

一方、混床方式では1μS/cmを下回る純度の高い純水を得ることができます。

そう!

2床3塔の処理水水質よりも、混床方式の方が処理水の純度は高いんです。

なぜ混床方式の方が純度が高いのかというのは諸説ありますが、

カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂からはそれぞれ溶出物があるそうです。

これを混床にすることで、互いの溶出物を吸着し合うから、

出口の純度が高まるという説があるようです。

2床3塔の出口水質だけで不十分な時はその後段に

混床塔を設置して、さらに純度を高めることも行われます。

まとめ

イオン交換樹脂を使った純水製造技術について初心者にもわかるように

と言う観点でまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

イオン交換樹脂はカチオン、アニオンそれぞれありますが、

2床3塔方式や混床方式が多く採用されています。

2床3塔よりも混床方式の方が処理水水質の純度は高いですが、

混床方式の方がキャパが少ないのが一般的です。

このため、条件によって適切な処理プロセスを選定したり、

場合によっては組み合わせて用いることが重要となります。