水処理の物質収支の組み方を徹底解説




水処理設計において物質収支を計算することはとても重要です。水処理システムの設計を進める上で避けては通れない行為と言っても良いかもしれません。

でも、意外と物質収支の計算方法については人それぞれいろんなやり方があって、どう計算していくのが良いのか議論されるシーンって少ないんですよね。

そこで、今回はそんな物質収支について、基本的な考え方やどうやって組んでいくのが良いのかまとめてみました。

水処理における物質収支とは

水処理で物質収支と言うと、どんなことを思い浮かべますか?

水量の収支を思い浮かべる人もいれば、細かな水質の値を

プロセスごとに追いかけて、その収支を思い浮かべる方も

いることと思います。

そもそも物質収支とはどのように定義されているのでしょうか。

一般的に、物質収支とは化学工学で用いられる物質の出入りの計算方法

の総称として用いられ、よく「マスバランス」とか「マテリアルバランス」

といった呼称で用いられることもあります。

化学工学では、そもそもある特定の原子レベルの物質は処理プロセスの

前後で増えたり減ったりしないという質量保存の法則に基づいて物質収支の

考え方が決められています。

では、実際に水処理での物質収支とはどのような計算方法のことを指すのでしょうか。

実は水処理において物質収支とは明確な定義があるわけではなく、人によって

かなりのレベル差があるというのが実態です。

つまり、ある人によっては単なる水量バランスの計算そのものが物質収支だと

言う人もいれば、より詳細な水質項目まで含めて見る方もいて人それぞれ

まちまちということです。

また、物質収支は対象とする処理プロセスによって見るポイントがあって、

例えば、凝集沈殿のような固液分離プロセスでは水中のSS成分を見て、

最終的に汚泥がどれだけ発生するかを計算するのに用いたり、

一方で、純水製造等では水中のイオンバランスを各イオンレベルで見ていく

ことがポイントとなったりします。

どの項目に注目するのかということ自体が、かなりノウハウ的な要素が大きいです。

水処理での物質収支の組み方のポイント

では、実際に水処理での物質収支の組み方のポイントについて解説していきます。

ここでは一般的に行われる(と思われる)物質収支の組み方についてご紹介します。

まず、物質収支はエクセルなどの表計算ソフトを用いて、処理プロセスの

物質を計算式で入力していきます。

表計算上に簡単なブロックフローを書いていき、各処理プロセスの前後の

水量と水質を入力するところからスタートします。

水量は単純に処理プロセスの前後で増減があればそれを反映する形となるので、

比較的簡単に物質収支を組むことができます。

一方、水質については物質ごとに細かく見ていけばいくほど、計算が複雑になり、

収支が合わなくなることもしばしば見受けられます。

よくやられるのは排水処理などで、上澄水などの排水を前段に戻して循環運転を

行う場合で、これを物質収支上で計算するには表計算上の循環計算機能を用いる

必要があります。

循環計算も何回循環させるかと言う点がポイントとなりますが、無限循環を

繰り返すとそれだけで表計算がものすごく重たくなり、実際に計算していくと

本当にこれであっているのかと言った不安に駆られることすらあります。

多分、このあたりまでくるとかなり自己流で計算式を打ち込んで計算している

人が多くなっていると思われます(^_^;)

でも大丈夫です!

みんなそんな不安を抱えながら計算していますから。

処理プロセス単位で計算式を打ち込み、各プロセスごとのつながりが

正しく構築できれば、水処理システム全体としての物質収支は完成です。




水処理での物質収支を組む上での注意点

水処理で物質収支を組む上での注意点についてご紹介しておきます。

これまで述べてきたように、水処理の世界では物質収支の考え方自体が

ある決まった定義があるわけではなく、人それぞれまちまちな計算を

行なっているケースが多いです。

これは裏を返すと、自分を信じて計算していかなければならないわけです(^^;

そんな混沌とした中でも注意点を挙げるとすれば、以下のポイントになると思います。

1.水処理の世界では計算と実態が合わないケースがある

いくら物質収支の計算を精度良く完璧にやりきったとしても、

計算上の理論値と実態は必ずしも合わないケースがあると言う点です。

処理プロセスにもよりますが、生物処理のような生き物を対象とする

プロセスではなおさらその傾向が強くなります。

せっかく一生懸命、計算に汗水流して苦労したとしても、必ずしもそれが報われる

と言う世界ではないと言うことです。

身もふたもない話かもしれませんが、心構えとしては持っておくべき視点だと

思います。

2.細部にこだわりすぎない

水処理の物質収支をきわめていこうとすればするほど複雑になってしまいます。

注目する物質を増やせば増やすほど、計算式も多くのパラメータを入力しなければ

ならなくなり、ますます混迷をきわめていくことになります。

手を抜くといえば語弊があるかもしれませんが、ある程度の見切りは必要です。

前述の通り、いくら精度良く計算したとしても実態とは合わないケースがある以上、

そこに全力投球しても報われないこととも多々あります。

ということで、あまり細部を突き詰めていかない視点を持っても良いかと思います。

3.自己流に走らない

3つめの注意点が一番大事だと思います。

水処理計算は非常に奥が深く、単純な物理法則だけで語れない

思わぬ落とし穴のようなポイントがあったりします。

このため、自己流に走りすぎて、意外な点を見落としてしまうケースも

多々あります。そんなリスクを負うよりは素直に先人達に学ぶ姿勢を

持つようにしましょう。

中には全て自己流でやりたいと思う方もいるかもしれませんが、

この部分は「守破離」の考え方がとっても大切です。

まとめ

水処理設計のうち、物質収支を組み上げることは避けては通れない重要な

工程です。一方で、物質収支は意外と決まったやり方があるわけではなく、

人それぞれだったりします。

今回はそんな物質収支について基本的な考え方から注意点までご紹介しました。

物質収支は実態と計算は合わないケースがあることを念頭に、細部にこだわりすぎたり、

極端な自己流に走りすぎないことがポイントと言えます。